オタク未満ブログ

陰パチェンス

インコと生きるということ


私は鳥と生きている。
数年前、迷子のインコを拾ってから共に暮らしている。

小型インコが二羽。

レインボーセキセイインコのラムネ。
ブルーボタンインコのボタン。

今回は皆様聞きなれないだろうボタンインコの紹介をしたい。

インコやオウムは飼い主である人間と恋人に近い関係を築く。
特にボタンインコは、飼い主を恋人と認識することが多い。
つまり、私とボタンは擬似恋人ならぬ擬似恋鳥である。

私の恋鳥であるボタンインコは、ペンギンのような見た目をしている。まるでピングーである。

黒い顔、白い胸、青の体。

どこを切り取っても、美しい。
神様がデザインした生き物たちは、全て美しく命の尊さを感じることができる。
人間以外、全ての生き物は美しい。

見た目では、日本で飼育できるインコの中ではかなり可愛い部類に入るのではないだろうか。
陰パはボタンインコをこの世で一番可愛いと思っている。


ボタンインコは世界で一番可愛い生き物である。
見た目は可愛い。だが、見た目だけ可愛いのではない。

性格は最凶に最悪である。
ボタンインコと同じ小型インコには、飼いやすいとされるセキセイインコ(実は病気がちな個体が多く、最初の飼育には避けた方が良い)や、丸い体とカラーリングが豊富なコザクラインコなどがある。
その小型インコの中で、ボタンインコは性格的に最も飼育しづらい種類である。


まず、一対一でしか関係を築けない。
家族などで大人数で飼育するには相性が悪いインコある。
「全員大好きだよ〜ピョロロ〜〜」が基本のオカメインコとは、真逆である。
ボタンインコは「この人」と決めた相手にだけしか心を許さない。
この基準も曖昧で、何故、生活能力が最もない陰パに懐いたのか。自然界だと間違いなく死んでいるぞ、とキスをする。可愛い。

我が家のボタンは、陰パのことが大好きである。
手乗りインコであり、にぎころ(手の中に仰向けで寝転ぶ)もできる上に、頭や嘴を撫でても怒らずに喜ぶ。
とても出来たインコである。最高に可愛い。

ボタンインコは、お喋りは苦手な種類であるが、音真似は得意だ。
「ボタン!」
「ピプー!」
「ワハハハ、ヒーッ!(陰パの笑い声)」
「ゴクゴク(陰パが水を飲む音)」
「クチャクチャ(陰パの咀嚼音)」
「ブーーーッ(ダメな時の訂正音として教えたが、ボタンの中では嬉しい時の合図になっている)」
それ以外にも音真似を多く覚えている。どうしようもない程、可愛い。

しかし、その態度も陰パにだけで、他の人に対しては威嚇・噛み付く・大声で鳴きわめくなど、荒鳥となる。
頭が良いので、噛まないよう躾けることは可能だが、噛まないだけで懐かない。陰パが噛まないよと合図を出すと、噛まないように必死に堪えている。
必死に堪えてはいるが、丸いお目目は三角に吊り上がり、嘴も半開きで噛み付く気満々の表情をする。
悪魔の顔である。

次に、噛む力が強い。
文鳥や鶏などの突くことを特化した嘴ではなく、巻き込む力がよく働く嘴である。
噛まれた指には嘴による穴が空き、血が溢れ出す。噛まれた跡は、しばらくの間傷跡として残る。
パートナーとして認識されないと子供でさえも、手厳しく噛み付くだろう。そのため、ファミリー層にはオススメできないインコなのだ。

最後に、ボタンインコはワガママだ。
我が家のボタンは、己のことを姫だと考えている。
姫だから、遊びたい時に遊べないと怒る。
姫だから、人間と遊ぶのではなく、人間"で"遊ぶ。
姫だから、触られたくない人間に触られそうになると「無礼者!」と成敗(噛み付き)する。
姫だから、丁重に扱わないとすぐに拗ねる。

朝起きたらまず、ボタン様に挨拶をし、鳥籠の清掃を始める。そして、ご機嫌をとる。ここで、機嫌を損ねると一日中不機嫌になるので、朝のこの時間が重要なのだ。
恋人関係というよりも、主従関係の方が近いかもしれない。

列挙した上記の特徴から、ボタンインコの良い所をご理解していただけたと思う。


冗談はさておき、ボタンが最も可愛いのは、一途なのだ。
この一途な性格こそ、私がボタンを愛してやまない理由である。

私が長期旅行や研究などで家にいない間、私をずっと健気に待っている。
ボタンと暮らすようになって初めて家を数日開ける時があった。
10日間ドイツへ行き、帰って来た時には、私がいないストレスから声が出なくなっていた。ご飯もまともに食べておらず、私を見るとガリガリに痩せた体で必死に飛んできてしがみつき、一日中私から離れなかった。

寂しかったのだろう。

私も寂しかったよ、と泣いた。
そこから、私はボタンに忠誠を誓い、そして永遠の愛の契りを交わした。

だから、私は家に帰らないといけない。
と、職場で泣き喚いても誰も私を可愛がらない。


鳥になりたい。